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2023年の公示価格

国土交通省が1969年施行の地価公示法に基づき、毎年3月に公表しているのが公示地価。

公示地価とは、その土地の価格がいくらになるのか目安となる指標だ。

指標となる公示地価は、一般の土地取引、公共事業用地の取得の目安としてさらに、金融機関の担保評価、企業が保有する土地の時価評価の基準・指標としても使われる。

土地はすべて更地として評価されているため、建物の評価額に左右されることはない。

また、公示価格は「住宅地」「商業地」「工業地」など、土地の用途別に分類して公表される。

早速、2023年の公示地価をみてみたい。

2023年の公示価格の特徴は調査対象の全国2万6000地点の58.0%で上昇が確認され、前年の43.6%を大きく上回った。

全用途で全国平均が前年比1.6%上昇、住宅地では同1.4%上昇、商業地が同1.8%上昇と、いずれも2年連続で上昇している。

2023年の公示価格で最も高かったのはは、東京都中央区銀座4丁目。

この地点は、1平方メートル当たり5,380万円であった。

ロナ禍前への回復傾向が顕著となり、富裕層の消費活動が回復、ラグジュアリーブランドが集まる銀座エリアの店舗の賃料もコロナ渦以前の水準に戻ってきていると分析している。

住宅地の公示地価上昇率は、札幌市郊外の地点がトップ10を独占した。

札幌市の地価上昇だが主な要因と考えれるが、日本ハムファイターズの新本拠地となる、「北海道ボールパークFビレッジ」の開業も影響していると推測される。

この大型複合施設の付近にJRが新しい駅を建設する構想もあることから、交通の便が良くなりことが予想施れ、住宅地、商業地とも地価の上昇が期待される。

次に世界最大手の半導体メーカー、台湾積体電路製造(TSMC)が新工場を建設すると発表した熊本県菊陽町はどうなったのだろうか。

商業地は21.7%、住宅地は9.7%の上昇といずれも大幅な伸びとなった。

TSMCの従業員の住宅需要が駅周辺や幹線道路沿いで増加することが容易に想定される。当然にTSMCの取引先などは菊陽町や周辺地域に事務所などを建設するこが予想されるので、商業地では一段と高い伸びとなった。

地域の利便性や発展が見込まれると地価の上昇が必ず起こっている。これは、どの時代にも共通して見られる現象で、現状が維持できない地方の土地利用はさらに厳しくなるだろう。